特定技能制度とは?技能実習との違いも徹底比較|受け入れ企業必読!

特定技能制度は2019年に創設され、深刻化する国内の人手不足に対応するため、一定の技能と日本語能力を有する外国人材を受け入れる仕組みとして活用が進んでいます。

2024年12月末時点の特定技能在留外国人数は28万4,466人で、2025年6月末速報値では33万6,196人に達しています。

制度創設時の対象は12分野でしたが、2024年3月の閣議決定により自動車運送業、鉄道、林業、木材産業が追加され、現在は16の特定産業分野で運用されています。

また、政府は2024年度からの5年間で、16分野合計82万人超の受入れ見込数を示しています。

この記事では、受入れ企業に向けて、特定技能制度の基本、技能実習制度との違い、企業に求められる支援義務や実務上の注意点を、2026年3月17日時点の制度運用に基づいて整理します。

※本記事の内容は作成あるいは更新時点の情報です。最新の情報は関係省庁等の公式HPをご確認ください。

特定技能制度とは?概要と創設の背景をわかりやすく

特定技能制度は、深刻化する人手不足と少子高齢化の進行を背景に、2019年4月に創設された在留資格制度です。

創設時は12分野でしたが、2024年3月の閣議決定により自動車運送業、鉄道、林業、木材産業の4分野が追加され、現在は16の特定産業分野で運用されています。

特定技能制度の概要|目的・創設の理由

特定技能制度は、国内の労働力不足と産業維持の観点から生産性向上や即戦力確保のために導入されました。

技能実習制度が「育成目的」に偏りがちで、労働力確保への実効性に限界があったため、より実務寄りの資格制度が必要とされていたからです。

  • 目的:人手不足業種における即戦力となる外国人の受け入れ
  • 対象:分野ごとに定められた技能試験+日本語能力試験の合格者
  • 創設理由:少子高齢化による労働人口の減少と技能実習の限界克服

この制度には「特定技能1号」「特定技能2号」の2種類があり、1号は最長5年まで、2号は熟練技能者向けで期間無制限・家族帯同可の資格となっています。

どんな外国人が対象?特定技能外国人とは

特定技能1号の取得には、分野別の技能試験に加え、原則として国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)または日本語能力試験(JLPT)N4以上の日本語能力が求められます。

なお、介護分野ではこれに加えて介護日本語評価試験が必要です。分野共通の説明として「N4・N3レベル以上」とするのは正確ではありません。

特定技能1号は16分野で運用されています。

また、特定技能2号は、介護分野を除く特定産業分野で受入れが可能で、一定の熟練技能を要件として在留期間の更新上限がなく、配偶者・子の帯同も可能です。

特定技能制度と日本の人手不足問題の関係

日本では少子高齢化の進展で生産年齢人口が減少し、特に建設・介護・飲食など必需産業で深刻な人手不足を抱えています

有効求人倍率は直近でも1倍を上回る水準が続いており、たとえば2026年1月の有効求人倍率は1.18倍です。国内人材のみで採用充足が難しい業種では、特定技能外国人の受入れが重要な選択肢となっています。

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特定技能と技能実習の違いを徹底比較

特定技能制度は「労働即戦力」を、技能実習制度は「技術移転や開発途上国支援」を主眼とし、その目的や在留条件が大きく異なるものです。

実習制度の代替となる「育成就労制度」も今後導入され、より実践志向の制度に再構築が進んでいます。

技能実習制度の概要と目的

技能実習制度は日本の技術を途上国に移転する「研修・開発途上国支援」が目的で、最長5年の在留が可能ですが、実際には労働力不足の補填に利用される問題も指摘されています。

一方、技能実習制度に代わる「育成就労制度」は、関連制度の見直しとあわせて2027年4月1日に施行予定です。

制度趣旨は、外国人材を3年間で特定技能1号水準へ育成し、人材確保と人材育成を両立させる点にあります。

制度・職種・在留資格の主要な違い

特定技能と技能実習は目的が異なるため、許可される職種や業務範囲、試験要件や支援体制も異なります。実習制度は研修形態が強く、特定技能はビジネス即応型で、日本語試験も必須です。

育成就労制度が導入されることで、技能実習から特定技能1号への移行がスムーズになり、在留資格の目的に応じたより柔軟な制度設計が進んでいます。

移行・転職・在留期間等の比較ポイント

技能実習者は原則として同一事業所・同一職種で在留しますが、特定技能では事業所間での転職が可能です。ただし、1号では在留上限が5年に制限されます。

2号の場合は在留期間無制限・家族帯同可能になることで、企業にとって定着率向上や長期雇用が見込める選択肢が広がっています。

特定技能実習生のケースと注意点

高度な技能を要する職種においては、技能実習生から特定技能1号への移行が進んでおり、特に製造・外食などの分野で推進されています。

ただし、制度の目的の違いから、特定技能1号の受入れ機関または登録支援機関には、3か月に1回以上の定期面談実施などの支援義務があります。

2025年4月以降はオンライン面談の活用も可能ですが、対面面談は年1回以上行うことが望ましいとされています。

特定技能制度の適用職種・分野とその要件

特定技能制度は2025年現在、従来の12分野・14業種から16の「特定産業分野」へと拡大され、より多様な業種で外国人の受け入れが進んでいます。

在留資格取得には、分野別の技能試験や日本語要件など、業務適性に即した要件が課せられています。

対象となる16分野(職種)一覧

特定技能1号は以下の16分野で運用されており、各業界の課題に即した人材ニーズに対応しています。

  1. 介護
  2. ビルクリーニング
  3. 工業製品製造業
  4. 建設
  5. 造船・舶用工業
  6. 自動車整備
  7. 航空
  8. 宿泊
  9. 農業
  10. 漁業
  11. 飲食料品製造業
  12. 外食業
  13. 自動車運送業
  14. 鉄道
  15. 林業
  16. 木材産業

各分野で求められる技能内容は詳細に定められており、例えば介護では身体介助業務、外食業では調理・接客・店舗管理などが含まれます。

これに加え、2024年以降に自動車運送、鉄道、林業、木材産業という4分野が追加され、合計16分野に拡大されています。

特定技能1号と2号の違いと職種範囲

特定技能制度には「1号」と「2号」の2種類があり、目的や可能な業務範囲に違いがあります。

1号:即戦力となる技能・日本語能力を有する者対象。14業種16分野で在留期間最長5年、家族帯同不可

2号:熟練技能者向け。在留期間の更新上限がなく、一定の要件を満たせば配偶者・子の帯同も可能です。対象は、16分野のうち介護・自動車運送業・鉄道・林業・木材産業を除く11分野です。

1号から2号への移行には、分野別試験合格や実務経験(例:建設では2年以上の経験)が求められ、取得後は長期雇用と生活定着を視野に入れることが可能です。

要件や基準・制限内容について

特定技能1号を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 分野ごとの技能試験合格または技能実習2号を良好に修了した者は免除
  • 日本語能力試験(N4〜N3相当)または国際交流基金日本語基礎テストに合格
  • 18歳以上、通算在留5年未満、保証金徴収なしなどの基本条件

また、特定技能外国人を受け入れる企業は、分野ごとの運用要領に従い、必要に応じて分野別協議会への加入が求められます。

2024年6月以降は、少なくとも複数分野で在留諸申請の前に協議会加入が必要とされています。分野ごとの最新運用要領の確認が必要です。

特定技能での在留資格取得の流れと試験内容

在留資格取得は、国内在住者と海外からの新規入国者で手続きが分かれ、それぞれ必要書類・申請方式が異なります。

なお、特定技能に関する在留諸申請については、2025年4月1日からオンライン申請の対象となっています。

在留資格取得までの主な流れ(申請・手続き)

【国内在住者(例:留学生や技能実習修了者)の場合】

  1. 技能・日本語試験合格(実習2号修了者は免除)
  2. 求人応募・雇用契約締結
  3. 在留資格変更許可申請(地方出入国在留管理局へ、審査期間1〜3か月)
  4. 許可後、新在留カード取得し就労開始

【海外からの新規入国者の場合】

  1. 試験合格(免除規定あり)
  2. 雇用契約成立
  3. 在留資格認定証明書交付申請(企業代理提出)
  4. 在外公館で査証取得、入国、就労

必要な技能試験・日本語能力試験(JLPT)のレベルと合格基準

技能試験:各分野所管団体が実施する内容で、「評価試験」形式を採用。技能実習2号良好修了者は一部免除可能

日本語試験:原則として国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上が必要で、分野によって追加要件がある場合も

協議会・登録支援機関の役割と支援内容

分野別協議会

分野ごとの運用要領に基づき運営されており、受入れ機関には分野に応じて加入や必要な手続が求められます。在留諸申請の前に加入が必要となる分野もあるため、最新の分野別運用要領の確認が必要です。

登録支援機関

受入れ機関から委託を受け、1号特定技能外国人に対する義務的支援10項目の全部または一部を実施します。

主な内容は事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、公的手続補助、日本語学習機会の提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期面談・通報などです。

採用・受け入れ企業が知っておくべき3つのポイント

企業が特定技能制度を活用することで、人手不足解消だけでなく多様性を活かした組織力強化が期待されます。

近年の制度改正によって企業側の手続き負担も軽減され、計画的な外国人採用がしやすくなっています。

ここでは、特定技能制度を活用して採用・受け入れを行う企業が知っておくべき、次に挙げる3つのポイントについて見ていきましょう。

  • 外国人採用のメリット・即戦力人材の可能性
  • 企業が守るべき管理・支援義務
  • 受入人数や上限、雇用条件の注意点

外国人採用のメリット・即戦力人材の可能性

特定技能外国人を雇用する主なメリットは以下の点です。

人手不足の即時解消:特に介護・建設・外食などで急務の労働力確保に直結する

即戦力としての活用:技能試験・日本語能力を満たした人材を採用できるため、教育コストを抑えつつ生産性向上を見込める

また、多様な文化背景や視点を持つ人材の参入が社内活性化や新サービス創出の契機となり、海外展開面でも強みとなります。

企業が守るべき管理・支援義務

特定技能1号を受け入れる際、企業には以下の支援義務が課されます。

支援計画の策定・実施:特定技能1号の受入れ機関には、法令に基づく10項目の義務的支援を適切に実施する義務があります。定期面談は従前どおり3か月に1回以上必要で、2025年4月以降はオンライン活用が可能になりました。

また、2025年4月1日施行の省令改正により、従来の四半期ごとの定期届出は見直され、年1回の定期届出となる一方で、受入れ困難事由の発生などに関する随時届出は引き続き必要

さらに、登録支援機関を経由する場合は、運営適正や支援実施の質が確認されるよう監督強化が進められています。

受け入れ人数や上限、雇用条件の注意点

制度を活用するにあたり、企業は以下の条件に注意する必要があります。

在留上限:1号は最長5年、2号は上限なし・家族帯同OK(対象分野限定)

業種ごとの受け入れ人数:協議会や分野別計画に基づいた上限設定の可能性あり

雇用条件の整備:最低賃金以上の給与、労働時間管理、安全配慮が義務付けられており、違反時には制度利用停止のリスクあり

特定技能制度の改正・現状と今後の動向

制度創設以来、企業負担の軽減と人権保護強化を目的に複数の改正が進み、今後も2号の対象拡大や柔軟な運用の強化が見込まれます。

近年の制度改正ポイントと背景

  • 定期届出頻度の緩和:四半期から年1回へ変更され、企業の報告業務が軽減
  • 登録支援機関の監督強化:虚偽報告や報酬未払いなど悪質事案への対応が可能

なお、介護分野では制度見直しにより、特定技能外国人が従事できる業務として、2025年4月21日から訪問系サービスが追加されました。

現状の課題や改善点

  • 人権・搾取リスクの継続:低賃金労働や長時間労働、借金問題などが依然として報告されている
  • 支援機関の質のばらつき:支援内容の均質化が課題で、国による監督強化が進行中である
  • 地方における人材偏在:都市部への集中により、地方企業の確保が難しい状況が続いている

今後の展望・対象拡大や追加分野の可能性

  • 特定技能2号の分野拡大:2025年以降、対象分野拡大と要件緩和により、熟練外国人の受け入れが進む見通し
  • 育成就労制度の導入:2027年4月1日施行予定で、技能実習制度に代わる仕組みとして、育成から特定技能1号水準への移行を見据えた制度整備が進行中
  • 地域定着支援の強化:自治体や業界団体と連携し、定住化を促進するための仕組みづくりが進行中

特定技能制度のよくある質問と実務上の注意事項

特定技能制度を巡る「よくある疑問」や実務上の注意点は、企業が導入前に把握しておくべき重要事項です。これらを理解することで、安心して制度を活用できます

技能実習生からの移行は可能か?

技能実習2号を「良好に」修了した実習生は、特定技能1号への移行が可能で、技能試験・日本語試験の免除対象となることがあります。

  • 両方の試験免除:実習と新たな業務に関連性がある場合
  • 日本語のみ免除:業務内容が異なる場合も対象

しかし、移行には以下の点に注意が必要です。

  • 業務の関連性は分野ごとに厳密に判断され、例えば鉄道・林業など一部分野は対象外の職種がある
  • 在留資格変更まで2~3か月の審査期間がかかるため、在留期限の前倒し申請や「特定活動」でのつなぎ措置が検討される

申請時や管理運用での注意点

  • 申請書類の完備:技能・日本語試験の合格証明、技能実習証明、契約書、支援計画書などが必要
  • 支援計画の策定と実施:1号特定技能外国人を受け入れる場合、受入れ機関は、法令で定められた10項目の義務的支援を適切に実施する必要ありで自社での実施も可能だが全部または一部を登録支援機関に委託することも可能
  • 在留期限の管理:「特定活動」制度により、移行準備が未完でも就労を継続できるよう配慮された特例措置あり

まとめ

特定技能制度の活用には、技能実習生の円滑な移行、在留・家族帯同・転職などの柔軟性、手続き上の注意点を十分理解することが重要です。

しっかり対応することで、優秀な即戦力人材を長期的に安定雇用できます。

企業は支援体制の充実、申請書類の適正な準備、定期的な労務管理を行うことで、トラブルを未然に防ぎ、制度のメリットを最大化しましょう。

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