特定技能の新たに対象となる3分野とは?受入れ要件も解説

特定技能の対象分野として新たに定められたリネンサプライ、物流倉庫、資源循環について、「いつから受け入れられるのか」「自社は対象になるのか」と気になっていませんか。

令和8年1月23日の閣議決定により3分野が制度上位置付けられましたが、すぐに全分野で受入れが始まるわけではないため、正確な理解が大切です。

本記事では、出入国在留管理庁、厚生労働省、国土交通省、環境省の公表情報をもとに、新3分野の概要と受入れ要件を現時点(令和8年4月末)の情報から整理します。

制度の現状から分野別の対象業務、企業側が確認すべきポイントまで、採用準備に役立つ内容をわかりやすく解説します。

特定技能の対象分野として新たに定められた3分野

リネンサプライ、物流倉庫、資源循環は、令和8年1月23日の閣議決定により、特定技能制度の対象分野として新たに位置付けられました。

一方で、入管庁は新たに定められた特定産業分野や業務区分について、省令等の準備が整い次第受入れが可能になると案内しているため、現時点では分野ごとの準備状況を確認する必要があります。

制度上は「新たに定められた分野」と理解する

リネンサプライ、物流倉庫、資源循環は、制度上の対象として新たに定められた分野です。

すでに全国で受入れが始まっているという意味ではないため、「採用できるようになった」と単純に受け止めると、実際の制度状況とずれる可能性があります。

受入れの開始には、省令や告示の公布・施行、試験の整備、協議会手続などが関係します。

企業が採用準備を進める際は、対象分野に入ったことと、実際に在留申請・受入れが可能になることを分けて確認することが重要です。

新たに定められたのは3業種ではなく3分野

今回の対象は、制度上は「リネンサプライ分野」「物流倉庫分野」「資源循環分野」と整理されます。

特定技能では、一般的な業種名だけでなく、国が定める特定産業分野や業務区分に該当するかどうかが受入れ可否の判断材料になります。

そのため、自社が同じような業務を行っていても、制度上の対象業務に当てはまるとは限りません。

たとえば資源循環分野は、広い意味でのリサイクル関連業務すべてではなく、廃棄物処分業の中間処理が中心になります。

受入れ見込数は分野ごとに異なる

特定技能制度では、分野ごとに受入れ見込数が示されます。

厚生労働省の資料では、令和11年3月末までの見込数として、特定技能全体で80万5,700人、育成就労全体で42万6,200人とされています。

新3分野の特定技能1号の受入れ見込数は、リネンサプライ分野が4,300人、物流倉庫分野が1万1,400人、資源循環分野が900人です。

育成就労を含めた分野全体の人数とは異なるため、制度の規模を見る際は特定技能1号と育成就労を分けて理解するとよいでしょう。

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特定技能1号で受け入れるための共通要件

新3分野で外国人材を受け入れる場合も、まずは特定技能1号に共通する基本要件を押さえる必要があります。

ここでは、外国人本人に求められる技能・日本語能力、受入れ企業側の雇用管理、支援計画と協議会加入について解説します。

外国人本人には技能と日本語能力が求められる

特定技能1号は、一定の専門性・技能を持ち、即戦力として働く外国人材を受け入れる在留資格です。

多くの分野では、分野ごとの評価試験と日本語能力の確認を通じて、業務に必要な水準を満たしているかが判断されます。

新3分野でも、分野別の評価試験が重要になります。リネンサプライ分野では、リネンサプライ分野特定技能1号評価試験に合格し、日本語能力は「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上とされています。

受入れ企業は適切な雇用契約を結ぶ必要がある

特定技能外国人を受け入れる企業は、報酬額や労働時間などについて適切な雇用契約を結ぶ必要があります。

出入国在留管理庁のQ&Aでは、報酬額は日本人が同等の業務に従事する場合と同等以上であること、通常の労働者と同等の所定労働時間であることなどが示されています。

また、特定技能外国人はフルタイムで働くことが前提です。一人の特定技能外国人が複数の企業で就労することはできないため、受入れ企業は雇用契約、配置先、勤務時間を一体で管理する必要があります。

支援計画と協議会加入も重要になる

1号特定技能外国人を受け入れる場合、企業は支援計画に基づいて生活面や社会生活面の支援を行います。

義務的支援には、事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保、生活オリエンテーション、相談対応などが含まれます。

さらに、分野ごとに設けられる協議会への加入も重要です。協議会は、受入れ状況の把握や制度の適正な運用に関わるため、採用活動を進める前に該当分野の協議会要件を確認しておくと安心です。

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リネンサプライ分野の対象業務と受入れ要件

リネンサプライ分野は、ホテル、病院、福祉施設などで使われるシーツ、タオル、ユニフォームなどのリネン類を扱う業務に関係します。

衛生管理が重視される分野であるため、対象業務だけでなく、施設の衛生基準や協議会対応も確認が必要です。

対象業務はリネン類の入荷から出荷まで

リネンサプライ分野の業務区分は「リネンサプライ」です。分野別運用方針では、特定技能外国人が従事する業務について、リネン類の入荷から出荷までの一連の業務とされています。

具体的には、入荷、仕分け、洗濯、乾燥、仕上げ、検品、出荷などの工程が中心になります。使用資材等の運搬作業や清掃作業など、日本人が通常従事する関連業務に付随的に携わることも認められています。

技能試験・日本語能力・直接雇用が求められる

リネンサプライ分野で特定技能1号として受け入れる外国人は、リネンサプライ分野特定技能1号評価試験に合格する必要があります。

日本語能力については、「日本語教育の参照枠」のA2.2相当以上の水準が求められています。

雇用形態は直接雇用に限られます。派遣や単なる外部人材の配置ではなく、受入れ企業が雇用主として労務管理、教育、安全衛生、生活支援を行う体制が必要です。

衛生基準の認定を受けた施設での受入れが条件になる

リネンサプライ分野では、業界団体が定める「衛生基準」の認定を受けた施設で、1号特定技能外国人を受け入れることが条件とされています。

リネン類は医療、宿泊、介護など衛生面への配慮が欠かせない場面で使われるため、施設単位での確認が重要です。

受入れ企業は、厚生労働省が設置するリネンサプライ分野の協議会の構成員になる必要もあります。

協議会で決まった措置への対応、必要な協力、厚生労働省または委託先による調査・指導への協力も求められます。

物流倉庫分野の対象業務と受入れ要件

物流倉庫分野は、倉庫内の入出庫、保管、在庫管理など、物流を支える現場業務に関係する分野です。

令和8年4月時点では、国土交通省が物流倉庫分野の上乗せ基準告示案について意見募集を行っており、最終的な基準を確認しながら準備を進める段階です。

物流倉庫分野は国土交通省関係の新分野

国土交通省は、令和8年1月23日の閣議で「特定技能制度・育成就労制度に関する分野別運用方針」が決定され、国土交通省関係では物流倉庫分野を対象に追加すると説明しています。物流倉庫分野は、育成就労制度の令和9年4月施行に向けた受入れ見込数の見直しとも関連しています。

物流倉庫分野で想定されるのは、倉庫作業に従事する受入れです。

告示案では、倉庫業者、倉庫業者から委託を受けて倉庫作業を実施する者、一般貨物自動車運送事業者等が受入れ機関の範囲として示されています。

労働者派遣ではなく受入れ機関の体制が問われる

物流倉庫分野の告示案では、申請人を労働者派遣の対象とする特定技能雇用契約を締結していないことが条件として示されています。

特定技能制度における派遣の受入れは、農業分野と漁業分野で認められる枠組みがある一方、物流倉庫分野では受入れ機関の直接的な管理体制が重視されます。

物流倉庫分野では、倉庫管理に関する情報システムの利活用も重要な確認事項になります。

入庫管理、在庫管理、出庫管理などの業務を適切に把握できる体制は、外国人材の受入れだけでなく、現場の安全性や生産性の向上にもつながります。

協議会加入と告示の確定状況を確認する

物流倉庫分野では、国土交通省が設置する協議会の構成員となることや、協議会に必要な協力を行うことが基準として示されています。

国土交通大臣等が行う調査・指導への協力も求められるため、受入れ前から書類管理や現場管理の体制を整えておく必要があります。

e-Govの意見募集ページでは、物流倉庫分野の上乗せ基準告示案について、案の公示日が2026年4月8日、受付締切が2026年5月8日とされています。

採用計画を立てる際は、告示案の内容だけで判断せず、公布・施行後の確定情報を確認することが欠かせません。

資源循環分野の対象業務と受入れ要件

資源循環分野は、廃棄物処分業のうち中間処理を行う業務を対象とする分野です。環境省は、令和9年の受入れ開始を目指して協議会の立ち上げや試験実施などの準備を進める予定としています。

対象業務は廃棄物処分業の中間処理

環境省は、資源循環分野の業務区分を「廃棄物処分業(中間処理)」と案内しています。

一般廃棄物と産業廃棄物のどちらの業務も対象とされていますが、収集運搬やリサイクル関連作業のすべてが含まれるわけではありません。

企業が受入れを検討する場合、自社の許可区分や実際の処理工程が制度上の対象に当てはまるかを確認する必要があります。

特に、廃棄物処理の現場では設備、車両、保護具、教育記録などの管理が重要になります。

優良な事業者であることが重視される

資源循環分野では、法令を遵守し、労働安全衛生対策等に適切に取り組む優良な事業者であることが重視されます。

環境省の概要資料でも、受入れ可能な事業者の要件として「優良な事業者」であることが示されています。

また、資源循環分野では協議会が、協議会加入を希望する機関に対して書面および実地による確認を行います。

この確認は受入れ前だけでなく受入れ後も定期的に行われ、認証されなかった場合は受入れ要件を満たさないことになります。

試験や協議会の詳細は今後公表される

環境省の特設ページでは、日本語試験としてJFT-Basicと日本語能力試験が案内されています。

一方で、特定技能評価試験、育成就労評価試験、協議会への入会までの流れ、協議会の問い合わせ先は、詳細が決まり次第知らせるとされています。

資源循環分野は、令和9年の受入れ開始を目指して準備が進められている段階です。

現時点では、すぐに受入れができる分野としてではなく、制度整備を待ちながら準備を進める分野として理解するのが正確です。

まとめ

リネンサプライ、物流倉庫、資源循環は、令和8年1月23日の閣議決定により、特定技能制度の対象分野として新たに定められました。

ただし、実際の受入れは省令・告示、評価試験、協議会手続などの準備状況によって異なるため、現時点では「すでに全分野で採用可能」とは考えず、分野ごとの最新情報を確認する必要があります。

企業が準備を進める際は、外国人本人の技能・日本語能力だけでなく、自社の業務区分、直接雇用、支援計画、協議会加入、法令遵守、安全衛生体制をあわせて確認することが大切です。

リネンサプライ分野では衛生基準認定、物流倉庫分野では告示の確定と倉庫管理体制、資源循環分野では令和9年の受入れ開始に向けた制度整備が主な確認ポイントになります。

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