特定技能2号拡大の注意点!企業が陥る3つのミス⚠️

「特定技能2号の対象分野が拡大されたと聞いたものの、自社にどのような影響があるのだろう」「特定技能1号の外国人を、そのまま2号へ移行させられるのだろうか」と疑問を抱えている人事・採用担当者も多いのではないでしょうか。

特定技能2号は、対象分野で熟練した技能を有する外国人が、中長期的に日本で就労するための在留資格です。在留期間の通算上限がなく、一定の要件を満たせば配偶者や子の帯同も可能になるため、企業にとっては外国人材の長期雇用を検討しやすい制度といえます。

一方、対象分野が拡大されたからといって、特定技能1号から簡単に移行できるわけではありません。試験合格だけでなく、分野別に定められた実務経験、対象業務、受入れ企業の基準などを満たす必要があります。

この記事では、特定技能2号の基本、対象11分野、企業が陥りやすい3つのミス、申請準備、2号人材を育成・定着させる方法について解説します。

※本記事の内容は2026年8月時点の情報に基づいています。対象業務、技能試験、実務経験、提出書類、分野別基準などは改定される可能性があるため、申請時には出入国在留管理庁および各分野を所管する省庁・試験実施機関の最新情報をご確認ください。

特定技能2号とは?1号との違いと拡大の背景

特定技能制度は、国内人材を確保することが難しい特定産業分野において、一定の技能を持つ外国人を受け入れるため、2019年4月に始まりました。

特定技能には1号と2号があり、求められる技能水準、在留できる期間、家族帯同、企業による支援義務などが異なります。

特定技能1号と2号の違い

特定技能1号は、対象分野について「相当程度の知識または経験を必要とする技能」を持つ外国人が対象です。これに対し、特定技能2号では、長年の実務経験などによって身に付けた「熟練した技能」が求められます。

2号人材には、自らの判断で高度な業務を遂行する能力や、分野によっては複数の作業員を指導しながら工程を管理する能力も必要です。技能水準は、原則として分野別の試験と実務経験によって確認されます。

比較項目特定技能1号特定技能2号
技能水準相当程度の知識または経験を必要とする技能熟練した技能
通算在留期間原則5年まで上限なし
家族帯同原則不可要件を満たせば配偶者・子の帯同が可能
支援計画1号特定技能外国人支援計画が必要1号支援計画の対象外
技能の確認1号技能試験など2号技能試験・技能検定など
実務経験移行経路や分野による多くの分野で所定の実務経験が必要

特定技能2号には通算在留期間の上限がありません。ただし、在留資格が自動的に無期限となるわけではなく、付与された在留期間が満了する前に更新許可申請を行う必要があります。

特定技能2号の対象が11分野へ拡大

制度開始当初、特定技能2号の対象は建設と造船・舶用工業の2分野に限られていました。

その後、2023年6月9日の閣議決定を受けて対象が拡大され、現在は次の11分野が対象です。

  1. ビルクリーニング
  2. 工業製品製造業
  3. 建設
  4. 造船・舶用工業
  5. 自動車整備
  6. 航空
  7. 宿泊
  8. 農業
  9. 漁業
  10. 飲食料品製造業
  11. 外食業

ただし、分野名に該当する企業であれば、どの業務でも2号外国人を雇用できるわけではありません。各分野で対象となる業務区分が定められており、さらに技能試験や実務経験の内容も異なります。

たとえば、工業製品製造業では、すべての業務区分が特定技能2号の対象になっているわけではありません。2026年8月時点では、機械金属加工、電気電子機器組立て、金属表面処理の業務区分が2号の対象です。

特定技能1号の対象分野と混同しない

特定技能1号の対象分野は、その後の制度改正によって増えています。

しかし、特定技能1号の対象になっていることと、特定技能2号へ移行できることは同じではありません。自動車運送業、鉄道、林業、木材産業など、1号の対象であっても2号の対象ではない分野があります。

企業は「特定技能の対象分野」という説明だけで判断せず、1号と2号のどちらが対象なのか、候補者が担当する業務区分まで確認する必要があります。

特定技能2号の対象分野で求められる技能と実務経験

特定技能2号では、11分野で共通の試験や実務経験が設定されているわけではありません。

具体的な業務、試験、実務経験は、分野別運用方針、運用要領、試験実施要領などで定められています。試験制度や実施予定については、出入国在留管理庁が分野別の情報を案内しています。

工業製品製造業分野

工業製品製造業では、対象となる業務区分について、製造工程に関する熟練技能が求められます。

2号では、単に自分の担当作業を行えるだけでなく、複数の技能者を指導しながら製造工程の作業を行う能力などが想定されています。

ただし、JISやISOの特定規格への対応、不良解析、設備保全などが、すべての候補者に一律で課されるわけではありません。企業は一般的な製造業の能力モデルではなく、対象業務区分の試験実施要領を確認しましょう。

建設分野

建設分野の特定技能2号では、熟練した技能に加え、複数の建設技能者を指導しながら作業工程を管理した経験などが求められます。

対象業務は、土木、建築、ライフライン・設備などの区分に基づいて判断されます。技能検定の特定等級だけがすべての申請者に一律で必要になるわけではなく、区分ごとに認められた試験や要件を確認しなければなりません。

また、建設分野では、出入国在留管理庁への申請とは別に、国土交通省が所管する建設特定技能受入計画などへの対応も必要です。

造船・舶用工業分野

造船・舶用工業分野では、造船、舶用機械、舶用電気電子機器などに関する業務が対象となります。

溶接、塗装、鉄工、機械加工など、担当する業務区分によって認められる試験や資格が異なります。特定のJIS資格やCAD読解力が全員に共通する要件ではないため、担当予定業務と試験区分を対応させる必要があります。

自動車整備分野

自動車整備分野では、自動車の日常点検、定期点検、特定整備などに関する熟練した技能が求められます。

特定技能2号評価試験や、分野で認められた自動車整備士資格などによって技能を証明します。ハイブリッド車や電気自動車に関する講習が業務上必要になる場合はありますが、すべての2号申請者に一律で課される在留資格上の共通要件ではありません。

農業・漁業分野

農業分野には耕種農業と畜産農業、漁業分野には漁業と養殖業の業務区分があります。

2号では、作業を自ら行うだけでなく、業務を管理したり、他の作業員を指導したりする能力が求められる場合があります。

閑散期があることを理由に、対象外の業務へ自由に配置転換できるわけではありません。配置を変更する場合は、特定技能2号で認められる主たる業務との関係を確認する必要があります。

外食業・宿泊分野

外食業では、飲食物調理、接客、店舗管理などが対象です。宿泊分野では、フロント、企画・広報、接客、レストランサービスなどに関する業務が対象となります。

2号では、複数の従業員を指導しながら店舗やサービス業務を管理する能力などが求められます。

クレーム対応やスタッフ教育が実務上重要になることはありますが、個々の企業が作成した接客マニュアルへの対応だけで2号の技能水準を証明できるわけではありません。

ビルクリーニング分野

ビルクリーニング分野では、建築物内部の清掃業務について熟練した技能が求められます。

複数の作業員を指導しながら現場を管理した経験などが必要になりますが、「必ず3名以上を指揮する」といった人数を、一般的な共通要件として断定するのは適切ではありません。

試験実施機関の要領に基づき、担当した業務と管理経験を確認しましょう。

航空分野

航空分野には、空港グランドハンドリングと航空機整備の業務区分があります。

安全性が重視される業務であるため、企業には適切な安全教育や労務管理が求められます。ただし、航空英語、医師面談の回数、月次安全会議などが、すべての特定技能2号受入れ企業に一律で課される在留資格上の要件というわけではありません。

法令、分野別基準、空港や事業者が定める安全規程を分けて確認することが大切です。

企業が陥る3つのミス

特定技能2号の活用で起こりやすい問題は、制度の対象範囲、企業の支援責任、人材のキャリア設計を混同することから生じます。

ここでは、企業が特に注意すべき3つのミスを解説します。

ミス1:試験に合格すれば2号へ移行できると思い込む

特定技能2号への移行で最も注意したいのが、試験合格だけで在留資格を変更できると考えてしまうことです。

2号では、分野別の技能試験などに加え、原則として所定の実務経験が必要です。どのような経験が必要かは分野や業務区分によって異なります。

役職名だけでは実務経験を証明できない

「リーダー」「班長」「副店長」という役職を付けていても、実際に他の従業員を指導したり、工程を管理したりしていなければ、必要な実務経験として認められない可能性があります。

実務経験を証明する際には、勤務期間だけでなく、次のような内容を示す必要が生じます。

  • 実際に担当した作業
  • 指導した従業員の人数や役割
  • 管理した工程や業務範囲
  • 品質・安全管理への関与
  • 担当期間
  • 所属部署や役職
  • 企業内での責任範囲

試験の申込みや在留資格変更を始める前に、候補者の経験が要件を満たしているか確認しましょう。

技能実習修了による試験免除と混同しない

技能実習2号を良好に修了した人は、対応する特定技能1号へ移行する際に、技能試験や日本語試験が免除される場合があります。

しかし、この免除制度が、そのまま特定技能2号にも適用されるわけではありません。

特定技能2号では、より高い熟練技能を確認するため、原則として2号試験などへの合格と、分野別の実務経験が必要です。

対策:2号要件から逆算して配置する

特定技能1号外国人を2号へ育成する場合は、試験直前に役職を変更するのではなく、早い段階から必要な経験を積ませることが重要です。

候補者の習熟度に応じて、次のような経験を段階的に付与しましょう。

  • 新入社員への作業説明
  • 作業手順の確認
  • 品質チェック
  • 安全確認
  • シフトや工程の補助管理
  • 問題発生時の報告
  • 改善活動への参加

実際に担当した内容は、職務記録や人事評価記録として残しておく必要があります。

ミス2:特定技能1号と同じ支援義務があると思い込む

特定技能1号では、受入れ企業が1号特定技能外国人支援計画を作成し、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、相談対応、定期面談などの法定支援を実施します。

受入れ企業が自社で適切に支援できない場合は、登録支援機関へ全部または一部を委託できます。

一方、特定技能2号は1号支援計画の対象ではありません。したがって、2号外国人の受入れについて、登録支援機関との契約や1号と同じ法定支援が一律に必要になるわけではありません。

支援義務がないことを「支援不要」と解釈しない

特定技能2号では、要件を満たせば配偶者や子を日本へ呼び寄せることができます。

本人だけでなく家族も日本で生活する場合、次のような課題が生じる可能性があります。

  • 家族で住める住居の確保
  • 住民登録や社会保険の手続
  • 配偶者の生活相談
  • 子どもの保育・就学
  • 医療機関の利用
  • 日本語学習
  • 地域との関係づくり

これらすべてを企業が直接提供する法的義務があるわけではありません。しかし、相談先を案内できない状態では、本人と家族が生活上の問題を抱え、結果として就労継続が難しくなる可能性があります。

登録支援機関へ委託すれば責任がなくなるわけではない

特定技能2号についても、企業が任意で外部機関へ生活支援などを委託することは可能です。

ただし、外部委託をしたからといって、雇用主としての責任がなくなるわけではありません。賃金、労働時間、安全衛生、ハラスメント防止、業務配置、在留管理などは、受入れ企業が適切に管理する必要があります。

対策:法定義務と任意支援を整理する

企業は、まず2号で法令上必要となる手続と、定着のために任意で行う支援を分けて整理しましょう。

たとえば、次のように担当を決める方法があります。

支援・管理項目主な担当例
雇用契約・労務管理人事・労務部門
在留資格の更新・届出人事部門・申請取次担当者
現場での技能指導配属部門・現場責任者
本人の相談対応社内相談担当者
家族生活に関する情報提供人事部門・自治体相談窓口
行政手続や就学案内自治体・外部支援機関
日本語学習本人・企業・外部教育機関

地方公共団体には、外国人の生活相談に対応する一元的相談窓口が設けられている地域もあります。企業だけで抱え込まず、公的な相談先へつなぐ体制を整えることも有効です。

ミス3:2号を取得すれば長期間定着すると考える

特定技能2号には通算在留期間の上限がないため、企業は外国人材を中長期的に雇用できる可能性があります。

しかし、在留期間の上限がないことと、同じ企業で長く働き続けることは別です。

特定技能2号外国人は、在留資格上の要件を満たす範囲で転職できます。企業が育成費や試験費を負担したことを理由に、転職を禁止したり、違約金を請求したりすることはできません。

役割と待遇が変わらなければ転職につながる

特定技能2号では、熟練した技能や、分野によっては指導・管理能力が求められます。

それにもかかわらず、取得後も1号時代と同じ仕事、同じ責任、同じ評価のままであれば、本人が能力に見合う待遇を求めて転職を考える可能性があります。

特定技能2号への移行を進める際は、資格取得後の役割も事前に設計しましょう。

日本人向けの評価制度が伝わるとは限らない

企業内に評価制度があっても、基準が曖昧だったり、外国人本人へ十分に説明されていなかったりすると、将来の昇給・昇進を見通せません。

「真面目に頑張れば評価する」といった抽象的な説明ではなく、次のような評価項目を具体化する必要があります。

  • 担当できる業務の範囲
  • 作業の品質
  • 安全管理能力
  • 後輩への指導能力
  • 工程・店舗・現場の管理能力
  • 顧客対応能力
  • 報告・連絡・相談
  • 資格・試験の取得
  • 改善活動への参加

外国人専用の不透明な制度を作るのではなく、日本人社員との公平性も考慮して設計しましょう。

対策:2号取得後のキャリアを事前に示す

特定技能2号へ移行する前に、本人と次の項目を話し合うことが重要です。

  • 2号取得後に担当する業務
  • 指導・管理する範囲
  • 昇給の条件
  • 役職の要件
  • 必要な資格
  • 日本語能力の目標
  • 数年後に想定する役割
  • 家族帯同を希望するか
  • 将来的に日本でどのように働きたいか

企業が実現できない昇進や永住許可を約束してはいけません。制度上可能なことと、会社として提供できるキャリアを分けて説明する必要があります。

採用から申請までの手続き

特定技能2号の申請では、候補者の技能だけでなく、雇用契約、企業の適格性、対象業務、分野別の手続なども審査されます。

基本的な流れ

一般的には、次の順序で準備します。

  1. 自社の分野・業務区分が2号対象か確認する
  2. 候補者の実務経験を確認する
  3. 必要な技能試験や資格を確認する
  4. 試験に申し込む
  5. 実務経験証明書を準備する
  6. 特定技能雇用契約を締結する
  7. 分野別に必要な手続を行う
  8. 在留資格変更許可申請などを行う
  9. 許可後に2号の対象業務へ配置する

日本国内にいる外国人が別の在留資格から2号へ移る場合は、在留資格変更許可申請を行います。国外から新たに採用する場合は、原則として在留資格認定証明書交付申請が必要です。

求人・面接時の注意点

求人票に「特定技能2号候補」と記載するだけでは、候補者が要件を満たしているか判断できません。

面接時には、次の内容を確認しましょう。

  • 現在の在留資格
  • 在留期限
  • 特定技能の分野・業務区分
  • 試験の合格状況
  • 過去の勤務先
  • 実際に担当した業務
  • 指導・管理経験
  • 実務経験証明書を取得できるか
  • 希望する職務・待遇
  • 家族帯同の希望

在留カードや証明書の写しは、本人の同意を得たうえで適切に管理する必要があります。面接録画や健康情報を、必要性を検討せず一律に収集・保管するのは避けましょう。

雇用契約書は本人が理解できるように説明する

特定技能外国人との雇用契約では、業務内容、就業場所、賃金、労働時間、休日、退職などの条件を明確にします。

外国人本人が十分に理解できる言語や方法で説明する必要がありますが、すべての企業に対して、日本語版と母国語版の契約書や宣誓書を一律に作成することが法令上必須というわけではありません。

重要なのは、本人が内容を理解し、契約内容と実際の労働条件が一致していることです。

主な申請書類

申請の種類や分野によって異なりますが、主に次のような書類を準備します。

  • 在留資格変更許可申請書など
  • 写真
  • パスポート・在留カード
  • 特定技能雇用契約書
  • 雇用条件書
  • 報酬に関する説明書
  • 技能試験の合格証明書
  • 実務経験証明書
  • 企業の登記事項・概要に関する書類
  • 税・社会保険・労働保険に関する書類
  • 分野別に求められる書類

提出書類一覧は2026年にも改定されています。過去に使用した申請書類をそのまま流用せず、申請時点の最新様式を確認しましょう。

職務内容は実態に合わせる

2号申請では、候補者が実際に担当する業務が対象業務区分に該当している必要があります。

ただし、申請書へ形式的に「指導」「管理」「改善提案」と書き加えればよいわけではありません。書面上の職務内容と実際の配置が一致していなければ、不適正な申請や在留資格外の活動と判断される可能性があります。

申請書、雇用契約書、職務記述書、実務経験証明書の内容を照合しましょう。

登録支援機関との関係

登録支援機関は、特定技能1号外国人に必要な法定支援を、受入れ企業から委託されて実施する機関です。

特定技能2号には、1号と同じ支援計画の作成・実施義務はありません。そのため、2号人材について登録支援機関への委託費用が必ず発生するわけではありません。

一方、企業が必要と判断すれば、次のような支援を外部へ委託することは可能です。

  • 在留手続の補助
  • 日本語学習支援
  • 生活相談
  • 家族帯同に関する案内
  • 住居探しの支援
  • 行政窓口への同行
  • 多言語での相談対応

費用は支援内容、人数、地域、契約範囲によって異なります。「月額3万~5万円が全国共通の相場」などと決めつけず、複数社から内訳の分かる見積りを取得しましょう。

審査期間を一律に決めない

在留資格変更許可申請などの審査期間は、申請の種類、提出先、時期、内容、追加資料の有無によって変わります。

出入国在留管理庁は、全国の地方出入国在留管理局における平均処理日数を月ごとに公表しています。ただし、公表値は過去の処理実績であり、個別申請の完了日を保証するものではありません。

「オンライン申請なら35日」「窓口申請なら50日」「追加資料の期限は必ず2週間」といった一律の説明は避けるべきです。

在留期限の概ね3か月前から更新申請が可能であるため、期限から逆算して準備しましょう。

特定技能2号への移行に必要な試験へ合格しているものの、在留期限までに申請書類を準備できない場合などには、一定の条件で「特定活動」への変更が認められる仕組みもあります。

特定技能2号を活用するメリット

特定技能2号は、適正に運用すれば、企業が熟練した外国人材を中長期的に雇用するための選択肢になります。

育成した技能を長期的に活かせる

特定技能1号は通算在留期間が原則5年までですが、2号には通算上限がありません。

更新が認められる限り就労を継続できるため、企業内で身に付けた技能や業務知識を長期的に活かせる可能性があります。

ただし、「無期限雇用が保証される」「採用費を必ず回収できる」という意味ではありません。本人の転職、契約終了、更新不許可などの可能性も考慮する必要があります。

現場の指導者として育成できる

特定技能2号では、分野によって他の作業員への指導や工程管理を行える能力が求められます。

2号人材を、新たに採用した外国人や若手社員の指導役に配置できれば、社内の技能伝承を進められる可能性があります。

ただし、2号を取得しただけで自動的に管理職の能力が備わるわけではありません。本人の適性や日本語能力も確認し、段階的に役割を広げましょう。

家族と生活できる可能性がある

特定技能2号では、要件を満たせば配偶者と子を「家族滞在」で呼び寄せられます。

本人にとって家族と暮らせることは、日本で中長期的なキャリアを形成するうえで重要な要素になり得ます。

ただし、家族帯同が認められれば必ず定着率が上がるとは限りません。住居、学校、医療、地域生活などの課題に対応できる情報提供も必要です。

特定技能2号取得後の転職と配置

特定技能2号外国人は、許可された活動の範囲内で転職できます。

同一の分野・業務区分で別の企業へ移る場合でも、転職先企業が受入れ要件を満たし、必要な在留手続や届出を行わなければなりません。

別分野へ自由に移れるわけではない

建設分野の特定技能2号を取得した人が、その資格だけで外食業や宿泊業へ転職することはできません。

別分野へ移る場合は、原則として移転先分野の試験、実務経験、企業要件などを満たす必要があります。

企業内に複数の事業がある場合でも、在留資格上認められた分野・業務区分を外れて自由に配置することはできません。

複数分野を横断する配置には注意する

製造、設備保全、物流、販売などを横断して働かせたい場合、それぞれの業務が特定技能2号で認められる対象業務か確認する必要があります。

社内独自の「ダブルライセンス」やリスキリング制度を設けても、在留資格上の活動範囲が自動的に広がるわけではありません。

付随的業務として認められる範囲を超えて別業務へ従事させる場合は、在留資格や業務区分の見直しが必要になる可能性があります。

永住許可を安易に約束しない

特定技能2号は通算在留期間の上限がないため、日本で長期的に在留することで、将来、永住許可を検討できる可能性があります。

しかし、2号を取得すれば永住許可が保証されるわけではありません。

永住許可では、在留期間だけでなく、素行、生計、公的義務の履行、在留状況などが総合的に審査されます。

企業が本人へ「2号になれば数年後に永住できる」「一定年収があれば必ず許可される」などと説明するのは避けましょう。

企業ができるのは、適正な雇用、社会保険の加入、税や保険料の納付に関する案内、在留手続の管理などを支援することです。永住許可の結果を保証することではありません。

特定技能2号人材を育成・定着させる方法

特定技能2号への移行を成功させるには、試験合格だけでなく、実務経験、役割、評価、待遇を一体的に設計する必要があります。

技能評価の基準を明確にする

評価項目は、自社の業務と分野別の2号要件に合わせて設定します。

例として、次のような項目があります。

  • 作業の正確性
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 作業速度
  • 問題発見・改善能力
  • 後輩への指導能力
  • 工程管理能力
  • 顧客対応
  • 報告・連絡・相談
  • 資格・試験の取得

すべてを一律に5段階評価にする必要はありません。評価結果が本人の業務や待遇にどのように反映されるかを説明することが重要です。

指導担当者にも教育を行う

外国人本人だけに学習を求めても、指導担当者の説明が分かりにくければ技能育成は進みません。

現場では次のような工夫が考えられます。

  • 一文を短くする
  • 曖昧な表現を避ける
  • 図や写真を使う
  • 作業を実演する
  • 本人に説明し直してもらう
  • 理解できていない場合の再説明方法を決める
  • 危険作業では理解を確実に確認する

動画やQRコード付き手順書も有効な場合がありますが、導入しただけで不良率や教育期間が必ず改善するわけではありません。効果を検証しながら活用しましょう。

技能と待遇を対応させる

高い技能や指導責任を求める一方で、賃金や役割が変わらなければ、本人の納得を得にくくなります。

2号取得後の業務、責任、役職、昇給条件を明確にし、日本人社員と比較して不合理な待遇差が生じないようにしましょう。

定期的にキャリア面談を行う

面談では、現在の業務だけでなく、本人の将来希望も確認します。

  • 今後担当したい業務
  • 取得したい資格
  • 指導者や管理者を目指すか
  • 日本語学習の目標
  • 家族帯同の希望
  • 日本で働きたい期間
  • 職場で困っていること
  • 待遇や評価への理解

年2回などの固定回数が法令上必須というわけではありません。職場や本人の状況に応じて、継続的に話し合える機会を設けましょう。

特定技能2号導入前のチェックリスト

申請や育成を始める前に、次の項目を確認してください。

  • 自社の分野が特定技能2号の対象11分野か
  • 候補者の業務区分が2号対象か
  • 必要な技能試験を確認したか
  • 実務経験の内容を確認したか
  • 実務経験を証明できる書類があるか
  • 役職名と実際の職務内容が一致しているか
  • 特定技能1号の試験免除と混同していないか
  • 雇用契約と申請書の業務内容が一致しているか
  • 日本人と同等以上の報酬を設定しているか
  • 分野別の企業要件を満たしているか
  • 協議会加入や事前審査の有無を確認したか
  • 2号では1号支援計画が不要であることを理解しているか
  • 任意で行う生活支援の担当を決めたか
  • 家族帯同の相談に対応できるか
  • 2号取得後の役割と昇給基準を示せるか
  • 転職を不当に制限する契約を設けていないか
  • 審査期間に余裕を持って準備しているか
  • 最新の申請様式を確認したか
  • 在留期限と更新時期を管理できているか
  • 永住許可を安易に保証していないか

まとめ

特定技能2号は、対象分野において熟練した技能を持つ外国人が、中長期的に日本で働くための在留資格です。

2023年の拡大によって対象は11分野となり、建設や造船・舶用工業だけでなく、工業製品製造業、外食業、宿泊、農業、漁業などでも2号人材を受け入れられるようになりました。

ただし、対象分野が広がったからといって、取得要件が簡単になったわけではありません。企業が陥りやすい主なミスは、次の3つです。

1つ目は、試験に合格すれば自動的に2号へ移行できると考えることです。実際には、分野別に定められた実務経験や対象業務、企業要件などを満たさなければなりません。

2つ目は、1号と2号の支援制度を混同することです。2号には1号特定技能外国人支援計画の義務はありませんが、本人と家族の生活を安定させる任意の支援は、長期定着のために重要です。

3つ目は、2号を取得すれば同じ会社で長期間働き続けると考えることです。特定技能2号外国人も転職できるため、技能に見合った役割、評価、昇給、キャリアパスを示す必要があります。

特定技能2号を単なる在留期間の延長や人手不足対策として扱うのではなく、熟練人材を育成し、公平に評価し、長期的に活躍してもらうための制度として位置付けることが大切です。

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