特定技能ビザは、日本で深刻化する人手不足を背景に、業種ごとに即戦力となる外国人材を受け入れるための制度です。この記事では、採用担当者が押さえるべき条件や最新のポイントを網羅的に解説します。
特に2024年以降の制度改定や追加分野などの最新情報をもとに、採用時に間違いやすい注意点を実務ベースで整理していきます。正しい理解でミスを防ぎ、ぜひともスムーズな採用につなげましょう。
※本記事の内容は作成あるいは更新時点の情報です。最新の情報は関係省庁等の公式HPをご確認ください。
特定技能ビザの基本条件と制度概要

特定技能ビザは、「特定技能1号」と「特定技能2号」の2種類があり、労働者の技能・在留条件など面で異なる規定が設けられています。企業はそれぞれの特徴を押さえることで、適切な制度活用とリスク回避が可能です。
特定技能ビザとは?種類と特徴を解説
特定技能は、日本の人手不足分野で外国人材を受け入れるための在留資格制度で、分野は制度改正により拡大・再編が行われています。
現行では複数の産業分野に区分されており、最新の対象分野は必ず公式資料で確認が必要です。1号は通算5年まで、2号は更新制限なしと在留期間に大きな違いがあります。
特定技能1号
- 在留期間:通算で最大5年(1年・6か月・4か月単位で更新)
- 要件:技能試験+日本語試験(N4等相当)、または技能実習2号修了者は試験免除
- 家族帯同:原則不可
- 支援義務:所属機関または登録支援機関による支援が必須
特定技能2号
- 在留期間:更新に制限なく、実質的に長期在留が可能
- 要件:より熟練した技能(各分野別技能試験の合格)
- 日本語試験:不要
- 家族帯同:要件を満たせば認められる
また、技能実習2号を良好に修了すれば、特定技能1号への移行に際し試験免除のルートが整備されています。
在留資格『特定技能1号・2号』の違いと留意点
特定技能1号と2号の違いを整理すると、以下の表のとおりとなります。
| 項目 | 1号 | 2号 |
| 在留期間 | 通算5年(更新あり) | 無制限(更新に上限なし) |
| 技能水準 | 相当な知識・経験(試験あり) | 熟練技能(分野別試験合格) |
| 日本語試験 | 必須(N4等) | 不要 |
| 家族帯同 | 原則不可 | 可能(一定要件あり) |
| 支援義務 | 所属機関/支援機関が必須 | 支援義務なし |
さらに、1号は5年の在留制限があり永住申請は不可。2号は実質長期在留が可能で、永住権の検討対象にもなります。
他の就労ビザ・技能実習との違い
特定技能は単なる就労ビザではなく、人材不足に対応するための即戦力確保を目的としています。一方、技能実習は開発途上国への日本の技術移転が中核で、帰国が前提です。
また、技能実習2号修了者は試験免除の優遇があり、移行制度が整えられています。特定技能では生活・社会上の支援が法律で義務づけられるなど、制度構造にも明確な違いがあります。
<関連記事>
特定技能ビザ完全ガイド!取得方法・条件・試験を徹底解説
特定技能ビザで採用できる職種・分野一覧と制限
特定技能ビザは、深刻な人手不足に対応する16の産業分野での即戦力として外国人を採用する制度です。各分野に応じた仕事内容や基準を理解することで、適切な人材採用が可能になります。
特定技能ビザが認められる職種・分野一覧(外食業・製造業など)
特定技能で受け入れ可能な産業分野は、
制度改正により対象分野は拡大・見直しが行われており、受入れ可能分野は年度ごとに変更されるため、最新の公表情報を確認する必要があります。
2025年5月30日には、外食業分野の運用方法や基準が改正されています。
各分野は細かく規定されており、外食業や飲食料品製造業など、厚生労働省・農林水産省が所管する業種はそれぞれ試験内容や実施要領が個別に定められています。
分野別の仕事内容・必要な技能や知識
特定技能1号として就労できる各分野の業務は、詳細に職務記述書として法務省から公表されています。
例)
- 外食業:調理、接客、店舗運営補助など幅広い業務が可能。技能試験+日本語試験(JFT‑BasicまたはJLPT)に合格が必要
- 工業製品製造業:溶接、機械加工、検査、組立など多様な技能業務が含まれ、OTAFF等が試験主催
各分野での試験では、実技・筆記を通じて「即戦力として機能する技能と知識」の保有が確認されます。
職種ごとに求められる要件・経験・技能実習修了との関係
特定技能1号では、技能・日本語試験に合格するか、技能実習2号を良好に修了したことで試験が免除されるルートがあります。
また、特定技能2号への移行には分野ごとの高度な技能が必要です。例えば外食業2号では店舗管理やスタッフ指導といった実務経験が求められます。
技能実習経験者であれば、その業務内容に応じた分野での特定技能へのスムーズな移行が可能です。例えば、溶接や塗装など製造業分野では、技能実習の経験を活かした試験免除もあり得ます。
特定技能ビザ申請に必要な条件と要件の最新版

特定技能ビザ申請には、本人・企業・支援機関それぞれに定められた制度上の要件を満たす必要があります。最新の運用要領に基づき、制度の円滑な運用と企業側のリスク軽減が図られています。
申請者(本人)に必要な条件・試験・技能・実務経験
技能試験+日本語試験合格
特定技能1号には、分野ごとの技能試験とJFT‑BasicまたはJLPTN4以上が必要です。
技能実習修了者ルート
技能実習2号を良好に修了すると、技能試験が免除されるケースがあります。
特定技能2号へのステップアップ
実務経験の蓄積と分野別試験合格が必要で、外食業では店舗運営や指導役の経験も要件です。
雇用する企業・支援機関に必要な要件と体制
適正な雇用契約の締結
報酬は日本人と同等以上とし、口座振込等適切な支払い方法が必要です。
企業の法令遵守体制
過去5年以内に法令違反がなく、安定的な労務管理体制が求められます。
支援体制の配置
1号特定技能外国人には、支援員による生活・就労支援プログラム(計画書)が義務付けられ、登録支援機関への委託も選択可能です。
届出義務
法人は出入国在留管理庁への各種届出(採用・変更・更新等)を適時行う責任があります。
在留期間・雇用契約・家族帯同など制度面の条件
在留期間
1号は最長5年(更新可)、2号は原則無制限で更新可能です。
雇用契約書
業務内容・報酬・労働時間・休日などが明記された契約書が必須です。
家族帯同
1号は原則不可、2号は分野によって一定要件を満たせば可能です。
特定技能ビザ申請手続きの流れ・必要書類
特定技能ビザの申請は、在留資格認定証明書の取得または在留資格変更許可申請からスタートし、複数の書類と手続きの確認が必須です。在留管理局に正確に対応することで、申請の遅延や不許可リスクを回避できます。
申請準備~出入国在留管理庁への許可申請の流れ
まず、雇用条件や支援計画を企業と登録支援機関で整えた後、在留資格認定証明書(新規入国)または在留資格変更許可(日本国内から移行)の申請書類を準備します。
これらは出入国在留管理庁へオンラインまたは窓口で提出し、通常は数週間〜数か月の審査期間が必要です。会社側は申請前に書類不備がないか二重チェックしましょう。
次に、申請後は必要に応じて追加資料の提出に対応します。例えば健康診断書や雇用契約書の補足説明が求められるケースがあり、対応が遅れると許可が先延ばしになるので注意が必要です。
必要書類・提出書類チェックリスト(雇用契約書等)
書類提出時のチェックリストとして使えるように、代表的かつ必須な提出書類の一覧を挙げておきましょう。
- 在留資格認定証明書交付申請書/在留資格変更許可申請書
- 健康診断個人票(医師発行)、翻訳文添付
- ID写真(縦4×横3cm・3か月以内)
- パスポートおよび在留カード
- 雇用契約書・雇用条件書・報酬説明書(日本語+理解可能言語)
- 技能試験・日本語試験合格証明書(特定技能1号)
- 支援計画書(登録支援機関作成含む)
- 返信用封筒(必要に応じ)
- 所得証明・年金保険加入証明など社会保険・税関係書類(申請人分)
これらに加え、分野ごとに指定される追加書類(事業許可証の写し、産業別届出など)があります。
登録支援機関・協議会・届出手続きのポイント
登録支援機関を利用する場合は、支援計画作成・支援業務の委託契約書を正確に整備し、定期的な実施報告と記録保存が求められます。
また、協議会(分野別)の加入要否やタイミングは分野ごとに異なり、申請前に加入が必要な場合もあるため、該当分野の要領を事前に確認する必要があります。特に外食・製造・建設などは、協議会への加入が許可の前提条件となっています。
さらに、受入れ後も在留管理局およびハローワークへの随時・定期届出義務(採用・離職・支援状況など)が発生します。これらを怠ると許可取消・罰則の対象となるため、届出フローの整備が重要です。
申請時の注意点・よくあるミスとその対策
最も多いミスは「協議会未加入」「支援計画未整備」「雇用契約書に不備があるケース」です。特に協議会の加入タイミング遅れは、「申請不可」のリスクがあります。
協議会加入や書類準備には一定の期間が必要となるため、余裕をもって早めに手続きを進めることが重要です。
また、雇用契約書や報酬説明書が「日本人と同等以上」と記載されていない場合も、申請却下の対象になります。契約書は必ず双方確認し、雇用条件を明文化した書類の添付を忘れないよう留意しましょう。
試験制度&取得方法の実態|技能試験・日本語試験

特定技能ビザ取得においては、日本語能力と分野別技能の両方を証明する試験への合格が必要です。最新の試験スケジュールや免除ルールを押さえることで、申請準備を円滑に進められます。
技能試験・日本語試験の内容と合格基準
日本語試験
- 条件:JLPTN4以上、またはJFT‑BasicA2以上が基本要件
- 合格基準:JLPTN4は180点中90点以上、かつ言語知識・読解で38点以上、聴解で19点以上が必要
技能試験(例:外食業)
- 学科(マークシート80分):衛生管理/調理/接客の知識を100点満点で出題
- 実技(判断試験・計画立案)も含まれ、合格基準は分野ごとに設定されており、試験実施団体の公表基準に準拠
- 介護分野では、上記に加えて「介護日本語評価試験」の合格も必須
試験実施スケジュール・運用方法の詳細
技能試験(製造分野等)はプロメトリック方式で実施され、試験料や証明書発行費用は分野・試験実施機関によって異なり、数千円〜数万円程度と幅があります。
申込前に各試験の公式案内で確認が必要です。
2025年試験スケジュール(製造分野)
- 第1回:申込2025年5月28〜6月21日→試験同7月1日〜7月7日
- 第2回(予定):申込2025年10月→試験同11月
- 第3回:2026年1月申込→試験同2月など4期制
なお、特定技能2号への移行には分野ごとに実務経験要件が定められていますが、特定技能1号の試験受験自体には原則として実務経験は不要です。
技能実習生からのルートと免除条件
技能実習2号を良好に修了した者は、特定技能1号へ移行し技能試験が免除されます。一方、特定技能1号在留中に技能試験2号に合格すると、2号へステップアップが可能になり、長期在留や家族帯同も視野に入ります。
費用・支援・管理体制の最新情報
特定技能人材の受け入れには、試験費用や在留申請費、支援委託費、その他運営コストが発生します。各項目の相場を確認し、予算計画に活かすことが重要です。
申請・採用で発生する費用相場と無料サポート
在留資格申請費用
ビザ・更新費含めて10~20万円程度(行政書士委託料も含むケースあり)
支援委託費用
支援は自社または登録支援機関で行い、登録支援機関への委託費用は月額2〜4万円程度が一般的ですが、支援内容や地域により大きく異なります。
人材紹介費等
10~50万円(国外招聘・建設分野では別途送出機関費用や団体負担金も発生)
技能試験費用
試験費用15,000円+証明書発行料15,000円
登録支援機関への依頼内容・支援業務とは
登録支援機関に支援を委託する場合、支援内容は以下の通りで構成されます。
- 入国前ガイダンス:2~6万円/1回
- 生活オリエンテーション:3~8万円/1回
- 定期面談:1~1.5万円/1回
- 同行支援:5,000~1万円/1時間
上記をまとめて月額固定または都度請求の形で提供するケースが多いです。
受入れ企業側の管理・対応フロー
受入れ企業側は支援体制の有無に応じて、自社支援か登録支援機関へ委託を選択します。自社支援は支援責任者・担当者の選任と書類・面談記録の作成が必要です。
建設業界の場合、JAC加入や国交省許可・受入負担金(年額15~24万円)などの特別要件があります。
なお、遵守すべき届出として、採用・離職・支援状況などについて在留支局/ハローワークに報告し、支援義務を継続して履行する必要があります。
転職・在留期間・更新・家族帯同、よくある疑問に回答
特定技能ビザ取得後の転職や在留更新、永住、日本での家族帯同などは、多くの企業担当者が不安を抱えるポイントです。最新の公式ガイドをもとに、よくある疑問をわかりやすく整理していきましょう。
在留期間満了後の転職・更新・永住の可否
転職
特定技能外国人が転職する場合、たとえ同じ特定技能ビザを持っていても都度「在留資格変更許可申請」が必要になります。さらに、退職後14日以内に入管への届出(変更機関届出)も義務付けられており、これを怠ると罰則対象になる可能性があります。
更新
【特定技能1号】
在留期間は最長通算5年で、3年・1年・6か月など単位で法務大臣が指定します。更新申請は在留満了日の3か月前から、最低でも1か月前までに行う必要があります。
【特定技能2号】
在留期間の上限がなく更新は制限なしとされ、3年・1年・6か月単位で延長可能です。
永住
1号ビザ保持者は5年在留の制限があるため、永住申請は基本的に不可能です。
また、2号保持者は更新回数に制限がなく、かつ特定条件(良好な生活歴・安定収入・素行要件など)を満たせば、永住権申請が可能です。永住許可には、原則として長期在留や安定した収入、素行要件など複数の基準があり、在留期間だけでなく総合的に判断されます。
家族帯同の条件と該当制度
特定技能1号の場合は制度上、原則として家族帯同は不可であり、例外は認められていません。
特定技能2号の場合は、配偶者・子どもの帯同が認められますが、要件としては安定雇用・扶養可能な十分収入・適切な住宅環境・社会保険加入・子どもの就学環境などの審査が行われます。
特定技能1号から2号への移行ポイント
1号から2号への移行は、高度な技能試験への合格と一定の実務経験が条件です。例えば建設・清掃分野では監督・指導経験2年以上が求められています。
また、日本語試験は基本不要ですが、一部分野(漁業・外食など)ではJLPT N3程度の日本語能力が求められるケースもあります。
最新動向・今後の制度改正・担当者へのアドバイス
2025年以降、特定技能制度と並行して「育成就労制度(2027年施行予定)」が登場し、転籍可能な中期在留制度として注目されています。これらの制度変更は、採用戦略に大きな影響を与えるでしょう。
直近の制度改定・運用変更点(最新版)
近年の省令改正では、届出方法の簡素化やオンライン対応の拡大など運用の見直しが進められています。
届出頻度や提出書類の要件が見直され、定期届出の年1回化やオンライン面談の導入拡大、協議会加入証明の提出義務化などが実施されました。
採用担当者が押さえておくべき注意事項・今後の備え
受け入れ企業の採用担当者は、以下の注意事項や今後の備えについて配慮するとよいでしょう。
転職時の届出・申請フローを整備すること
14日以内の入管届出・資格変更手続きが必要なため、社内ルール整備と担当者教育を徹底しましょう。
2号への移行支援を視野に
人材の中長期利用や永住移行の見通しを立て、企業支援プランに反映させましょう。
育成就労制度への対応準備
2027年までにスムーズに移行できるよう、教育プランや費用分担ルールを検討しておくことが重要です。
まとめ
特定技能ビザの転職、在留更新、家族帯同、1号→2号、永住といった一連の流れは、正確な制度理解とタイムリーな対応が不可欠です。
最新の運用改定や新制度の動向をふまえ、採用担当者として社内体制を整えておくことで、ミスやリスクが大きく軽減できます。
特定技能2号以降は永住へのステップとしても重要な制度であり、育成就労制度との併用でより柔軟な採用計画が可能です。今後の法律改正や省令改定に目を配り、企業の人材戦略の質を高めましょう。




