外国人従業員のビザ更新手数料が、今後どの程度上がるのかを確認したい企業の人事担当者は多いのではないでしょうか。
特に在留期間更新や在留資格変更は、採用後の雇用継続に直結するため、手数料の変更は実務上も見過ごせません。
出入国在留管理庁の公式情報では、2025年4月1日から在留手続等の手数料が改定され、さらに2026年7月3日には在留許可手数料に関する新たな政令案等がe-Govパブリック・コメントで公示されています。
この記事では、現行の手数料と令和8年10月1日施行予定とされる改正案を分けて整理し、企業の人事担当者が準備すべきポイントを解説します。
外国人のビザ更新手数料は何が変わるのか

外国人のビザ更新と一般に呼ばれる手続は、法的には多くの場合、在留期間更新許可申請を指します。今回の確認では、現行制度としての2025年4月改定と、2026年7月に公示された政令案を分けて理解することが大切です。
現行制度では更新手数料は6,000円
現行の在留期間更新許可申請では、許可されるときに6,000円の手数料が必要です。オンライン申請の場合は5,500円とされ、いずれも収入印紙で納付する扱いになっています。
2025年3月31日までに受付された申請については、許可が4月1日以降になっても改定前の4,000円による納付とされています。そのため、過去分の精算や社内確認では、許可日ではなく受付日を基準に整理する必要があります。
2026年公示案では大幅な引き上げが示されている
2026年7月3日にe-Govパブリック・コメントで公示された政令案等では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料について、許可される在留期間に応じて1万円から7万5,000円までとする案が示されています。
施行期日は、概要資料で令和8年10月1日とされています。ただし、本稿作成時点では意見募集段階であり、正式に確定した制度として扱うのではなく、今後の公表を確認する必要があります。
企業の人事担当者としては、現行手数料での運用を続けながら、改正案が予定どおり進んだ場合の費用影響を先に試算しておく姿勢が現実的です。
永住許可は20万円への改定案が示されている
現行の永住許可申請では、許可されるときに10,000円の手数料が必要です。2025年3月31日までに受付された申請については、改定前の8,000円による納付とされています。
一方、2026年7月公示の参考資料では、永住許可の改定後手数料として窓口20万円が示されています。
永住許可は本人の長期的な生活基盤に関わる手続ですが、企業側でも在職証明や収入関係資料の準備を求められることがあるため、人事部門として概要を把握しておく意義があります。
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改正案で示された手数料の具体的な金額
2026年7月公示の参考資料では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料が、許可期間ごとに細かく示されています。
企業の人事実務では、従業員に何年の在留期間が許可されるかを事前に断定できないため、費用を一律ではなく幅で見ておくことが重要です。
3か月以下は1万円の案
改正案では、在留資格変更許可または在留期間更新許可で、許可期間が3か月以下の場合、手数料は1万円と示されています。現行の窓口6,000円、オンライン5,500円と比べると、短い在留期間であっても負担が増える内容です。
企業で短期的な雇用や試用的な配置を想定する場合でも、在留手続の費用が従来より重くなる可能性があります。短い許可期間だから費用負担が軽いと単純には考えず、更新頻度も含めた管理が必要になるでしょう。
1年や3年の許可ではさらに負担が増える
改正案では、3か月超6か月以下の場合、窓口18,000円、オンライン15,000円とされています。6か月超1年未満では窓口25,000円、オンライン21,000円、1年では窓口33,000円、オンライン27,000円です。
1年超3年未満の場合は窓口48,000円、オンライン42,000円と示されています。人事担当者が多く扱う就労系の在留資格では、1年や3年に近い在留期間が実務上の確認対象になりやすいため、社内予算への影響を見積もる際の中心になるでしょう。
5年以上では最大7万5,000円の案
改正案では、3年以上5年未満の場合、窓口64,000円、オンライン56,000円とされています。5年以上の場合は窓口75,000円、オンライン65,000円となり、現行手数料と比べて大きな引き上げになります。
在留期間が長いほど更新頻度は下がりますが、1回あたりの手数料は高くなる構成です。企業が更新手数料を負担している場合は、対象人数と想定される許可期間ごとに、年間または数年単位の費用を試算しておくと実務判断に役立ちます。
企業の人事担当者が押さえるべき対象手続

今回の手数料見直しは、外国人従業員の在留期間更新だけを見ていればよいものではありません。
採用時の在留資格変更、雇用継続時の在留期間更新、長期在留者の永住許可まで、企業が関わる可能性のある手続を広く確認する必要があります。
在留資格変更許可も対象になる
在留資格変更許可申請は、現行制度では許可時に6,000円、オンライン申請では5,500円が必要です。2025年3月31日までの受付分については、改定前の4,000円が適用される扱いになっています。
たとえば留学生を新卒採用する場合や、従業員の担当業務が変わる場合には、在留期間更新ではなく在留資格変更が必要になることがあります。社内でまとめてビザ更新と呼んでいる場合でも、実際の手続名を区別して管理することが重要です。
在留期間更新は雇用継続に直結する
在留期間更新許可申請は、外国人従業員が現在の在留資格のまま、在留期限後も引き続き日本に滞在するための手続です。出入国在留管理庁の案内では、標準処理期間は2週間から1か月とされています。
人事担当者にとっては、更新手数料の金額だけでなく、在留期限までに申請を済ませる管理体制が重要になります。費用の見直しと同時に、在留カード情報、在留期限、更新予定月、必要資料の担当者を一覧化しておくと対応しやすくなります。
永住許可は本人手続でも会社に関係する
永住許可申請は、外国人本人の中長期的な生活設計に関わる手続です。現行制度では許可時に10,000円が必要であり、2026年7月公示の参考資料では改定後手数料として20万円が示されています。
会社が永住許可申請を直接代行しない場合でも、在職証明書、源泉徴収票、職務内容に関する資料などの発行を求められることがあります。外国人従業員から相談を受けた際に、会社が対応できる範囲と本人が確認すべき事項を分けて案内できる体制が望まれます。
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オンライン申請を活用する際の注意点
改正案では、オンライン申請の手数料が窓口申請より低く設定される区分が示されています。費用面ではオンライン申請の活用が選択肢になりますが、利用条件や申請可能な時期を確認しないまま進めると、予定どおりに申請できない可能性があります。
所属機関の職員が利用できる条件を確認する
在留申請オンラインシステムを利用できる方には、所属機関の職員、弁護士または行政書士、登録支援機関の職員、外国人本人などが含まれています。所属機関とは、外国人を受け入れている、または受け入れようとする企業や学校などを指すと案内されています。
企業の人事担当者が所属機関の職員として利用する場合は、申請等取次者としての承認を受けているか、承認要件を満たしている必要があります。オンライン申請の導入を検討する企業では、自社の担当者が利用者区分に該当するかを先に確認しておくべきです。
在留期限の最終日はオンライン申請できない
出入国在留管理庁の案内では、在留期限の最終日、つまり在留期間満了日の当日に在留申請オンラインシステムで申請することはできないとされています。
その場合は、管轄内の地方出入国在留管理官署で申請する必要があります。この点は、人事実務上の重要な注意点です。
オンライン申請を前提にしている場合でも、在留期限直前まで準備を先延ばしにせず、少なくとも期限より前に申請できるようスケジュールを組む必要があります。
オンライン化は費用差だけで判断しない
改正案では、オンライン申請の促進を図るため、窓口申請との間に3,000円から1万円の差を設ける考え方が示されています。5年以上の許可期間では、窓口75,000円、オンライン65,000円という差が示されており、費用面での違いは小さくありません。
ただし、オンライン申請を社内運用に組み込むには、担当者の権限、必要資料の電子化、本人との確認フローなどを整える必要があります。手数料だけで判断するのではなく、申請漏れを防ぐ管理体制と合わせて検討することが適切です。
手数料改定で人事実務に起こる影響

手数料の大幅な見直しは、外国人雇用に関する社内ルールにも影響します。特に、会社が手数料を負担している企業、行政書士への依頼費用を含めて支援している企業、家族帯同者の相談を受ける企業では、早めの整理が必要です。
更新対象者が多い企業では予算管理が必要
現行制度では在留期間更新許可申請の手数料は窓口6,000円ですが、改正案では許可期間に応じて最大75,000円まで引き上げる内容が示されています。
複数の外国人従業員を雇用している企業では、単価の変化が年間予算に与える影響を確認しておく必要があります。
たとえば、会社が更新手数料を全額負担している場合、1人あたりの費用差だけでなく、更新時期が集中する月の支出も見込む必要があります。人事部門と経理部門で、在留期限一覧を共有しておくと予算化しやすくなります。
会社負担か本人負担かを明確にする
在留手続の手数料を会社が負担するか、本人が負担するかは、企業ごとの雇用方針や福利厚生の考え方によって異なります。手数料が大幅に上がる可能性がある以上、これまで曖昧だった運用をそのままにするのは避けたほうがよいでしょう。
会社負担とする場合でも、収入印紙代のみを対象にするのか、行政書士報酬や証明書取得費用まで含めるのかで実務は変わります。本人負担とする場合は、金額、支払時期、会社が支援する範囲を文書で案内すると誤解を防ぎやすくなります。
家族帯同者の更新費用も確認する
外国人従業員に配偶者や子どもなどの家族帯同者がいる場合、本人だけでなく家族の在留期間更新が発生することがあります。企業が本人の就労資格だけを管理していると、家族分の手続や費用について相談を受けた際に対応が遅れるかもしれません。
会社が家族分の費用まで負担するかどうかは、社内規程や雇用条件によって判断が分かれます。少なくとも、家族分は本人が確認する事項なのか、会社が案内や資料作成を支援するのかを切り分けておくと実務上の混乱を減らせます。
改正案への社内対応で見直したいポイント
手数料改定への備えは、金額表を確認するだけでは十分ではありません。外国人雇用を安定して続けるためには、期限管理、費用精算、社内周知、オンライン申請体制を一体で見直すことが大切です。
在留期限の管理表を更新する
在留期間更新許可申請は、在留期間の満了日以前に行う手続です。6か月以上の在留期間を有する方については、原則として在留期間満了のおおむね3か月前から申請を受け付ける案内になっています。
企業では、在留資格、在留期間満了日、更新予定月、本人への案内日、必要資料の提出期限を管理表に反映するとよいでしょう。改正案が予定どおり施行される場合には、手数料見込額の欄も追加しておくと、経理処理との連携がしやすくなります。
入社時資料や社内FAQを最新化する
外国人採用を継続している企業では、入社時資料や社内FAQに旧手数料の情報が残っていることがあります。
現行制度だけを見ても、在留期間更新の手数料は2025年4月から窓口6,000円、オンライン5,500円になっているため、古い4,000円表記は修正が必要です。
さらに、2026年7月公示の改正案については、確定情報ではなく案として注記したうえで、人事担当者向けの内部資料に掲載しておくとよいでしょう。
従業員向けには、正式決定後に案内する項目と、今から共有してよい注意喚起を分けると過度な不安を避けられます。
減額や免除の情報も確認する
2026年7月公示の参考資料では、減額の対象者として、生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者で、難民の認定または補完的保護対象者の認定を受けている者などが示されています。
詳細はガイドラインに記載される扱いとされています。また、外交または公用の在留資格への変更許可を受ける者などについては、免除の対象者として示されています。
一般的な企業の就労系在留資格では該当しないケースが多いと考えられますが、制度案内としては減額や免除の枠組みがあることも押さえておくべきです。
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まとめ
外国人のビザ更新にあたる在留期間更新許可申請は、現行制度では窓口6,000円、オンライン5,500円です。2025年4月1日以降の受付分からこの手数料が適用されており、2025年3月31日までの受付分は改定前の4,000円による納付とされています。
一方で、2026年7月3日に公示された政令案等では、在留資格変更許可と在留期間更新許可の手数料を許可期間に応じて1万円から7万5,000円まで、永住許可を20万円とする案が示されています。
本稿作成時点では意見募集段階のため、企業の人事担当者は正式決定を確認しつつ、在留期限管理、費用負担ルール、オンライン申請体制、社内FAQの見直しを早めに進めておくことが重要です。




